- 2012-07-16 (月) 0:00
- MIRAIにつなぐ(2012-)
パウダーパフ・レーシングのライダーは、楽しく真剣に走るためには、まず自身ができうる安全への対策をできる限りしていく事も必要不可欠と考えています。
その安全の確保を考えた時、クシタニ社製レーシングスーツを使用する事を選択しました。
レーシングスーツのオーダーにあたり、パウダーパフ・レーシングの担当となり、いつも親身になって対応して下さったレーシングサービス商品管理部 主任 六浦さんに、レーシングスーツのこだわりと在り方についてお聞きしました。
今回ご縁が有って、パウダーパフレーシング様の鈴鹿4時間耐久レース参戦に協力させて頂くことになりました。女性2名の耐久チームは私も初めてです。スーツデザインも凝っていて仕上がりが楽しみです。
製作しているスーツについてのこだわり等を教えてほしい、とお話しを頂きました。
弊社は「浅間のレース」のころからmotogpの開発ライダーまで、長年多くのレザースーツ等を作ってきました。
現在サーキットでは時速300㎞/h以上のスピードが出ます。コーナーでは体重移動をして曲がって行きます。転倒したらそこはアスファルト。
オートバイのレーシングマシーンは日常の世界から遊離した特殊な世界かも知れません。しかし、非日常的な世界で使用され、開発され、得られたものは日常のオートバイに使用する用品にフィードバックされ、多くのライダーの安全性を高めてきました。
過去には数知れないトライ＆エラーもあったことでしょう。今の商品をみてそれを感じるのは難しいかも知れませんが、現在供給している「レーシングギア」は現時点での完成形です。素材を一つとっても必ず意味があります。
本体の革は弊社が一番こだわってきたところです。これだけ技術が進化した現在でも総合的に「革」を凌駕する素材が出来ていないのです。引き裂き強度、磨耗強度はもちろんアスファルト上での滑り具合、通気性、しなやかで体にフットする、不燃性が高い等、求められる要求は多数あります。そんな要求に対して時間をかけて積み上げてきました。しかし、革特有の、メンテナンスが難しいという項目が残りました。
「プロトコアレザー」はメンテナンス性を高めるために、フッ素を入れています。
これにより雨や汗で濡れても水分が素材に入り込まず、必要な油分が出てゆくことを抑えています。硬くなりにくいのです。又、雨でも重くなりにくく、実戦でのアベレージとなっております。特にハードな使用をするテストライダー、軽量級クラスのライダー等に喜ばれています。
ニットは「ザイロン」と「ケプロテック」を使い分けています。
ザイロンは医療用のはさみでも初めの1回で切れ味が悪くなるそうで、救急隊員泣かせではありますがそれだけの強度があります（製品製造時は常に自ら磨ぎながら回転する歯をもつ電動カッターで切ります）。耐火性も高く場合によっては革以上の強度があります。弊社ではトップモデルに使用しています。
ケプロテックは伸縮性があり汎用性が高い（他メーカーでも使用されています）ので、スタンダードモデルに使用しています。
パットは「Ｋフォーム+」を使用。衝撃吸収力が高く水分を含まないので重くなりません。
地味なところですが、裏地は専用のものを使用しています。これを使用してから転倒時に擦過傷になる選手がほとんどいなくなりました。
進化するオートバイにより乗り方も変化してきます。スーツのパターンは時代を反映します。ライディングを妨げないように動きやすく、フットして空気抵抗を小さくしなくてはなりません。又、転倒時は体を守ることに徹しなくてはなりません。サーキットの現場では全日本選手権参加ライダー、メーカーテストライダー等と議論しながら開発を進めています。
しかし、商品化にはとても慎重です。ユーザーの手に渡ってからネガが発見されてはいけないからです。段階的なテストを行ない、ネガをつぶして行きます。実際製品化されるときには私たちの現場では「新鮮」なものでは有りませんが、その分「安心」してお勧めできる物となっています。
ほとんどのライダーはメーカーが供給する商品以上に安全な用具をつかうことは出来ません。「現時点での完成形」が商品ですが、「最終形」ではありません。終りは無いのです。
「安全の世界を創造します。」
弊社カタログの最後のページに記載されている言葉です。この言葉を実践することが私たちの仕事です。
（株）クシタニ
レーシングサービス 六浦真樹
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