- 2012-06-08 (金) 0:00
- KAKOをつむぐ(1978-)
ゴソゴソゴソ・・・
「あった。」
堀さんの衝撃の映像以来、なんか
モヤモヤのワタシ。
どうしても、見たいものがあったので
和ダンスの奥を探した。
彼女からもらった手紙である。
メールなんてなかったあの頃、よく長電話をした。
筆まめの彼女から何通も届いた手紙のうち、
最後の2通だけ実家から持って来ていたのだ。
彼女が作ってくれた、コットンのフリルが
ふんだんに使われたウエディングドレスでの
結婚式を終え、
新婚旅行から帰ると手紙が届いていた。
ちょうど中国のタクラマカン砂漠を
走破する計画が進捗していた頃だった。
「式で大泣きしちゃってゴメン!
最悪の挨拶になってしまって、自己嫌悪です。
やはり、現実に○○ちゃんの晴れ姿を見ると、複雑な
心境でとにかく胸が一杯になってしまいました。
大事な時に泣いて、言いたいこともきちんと言えず
イヤになっちゃう。ごめんね。
ご両親と○○○さんに謝っておいてね・・・
中国ツーリングは、交渉が非常に難航していて
一度ダメという答えが出て、イロイロ根回しして
やるだけのことはやって帰って来ました。
昨日、先方から受け入れOKの電報が来ました
8月半ばから10月半ばぐらいで行くつもりです。
○○ちゃんの代わりに○○クンを連れて行くことに
しました。詳しいことは会ったときに話すね・・
4月21日の鈴鹿全日本3戦に仕事でいきます。
お邪魔じゃなかったら寄りたいなあ、なんて
おもっています。」
結婚前、鈴鹿や関西で仕事があるときは
必ずワタシの家に寄ってくれた。
小さな灯りで夜更けまで話し込んだ。
彼女も酔うと饒舌になる。
結婚してひと月足らず、新居に
堀さんが泊まりに来るというのを楽しみに
していたのはオットだった。
つたない手料理を食べてもらって
中国ツーリングの話、結婚式の話、彼女のお店の話・・
お酒を交わしながら夜が更けるのも忘れていた。
彼女が東京に帰ってから、すぐにまた
手紙をもらった。
それが最後の手紙だった。
彼女がなくなる7日前の日付で、5日前に
うちの郵便受けに投函されていた。
「先日は図々しくも、新婚さんちにお邪魔をして
おまけに美味しい手料理まで作ってくれて
自分の家みたいにリラックスできました。
ありがとう・・・
・・頑張りすぎは良くないよ、○○○さんのためにも
ダメな奥さんでいた方がいいと思う。
・・先日フィルムの整理をしていたら、サハラの
ものが一本出てきて現像しました。ほとんど
○○ちゃんが写っているので送りますね。
・・・Zippoのライターを忘れてきたようです。
もし、あったら郵送してください・・
○○○サンによろしく!酔っていて、夜にちゃんと
挨拶もしないで帰っちゃってスミマセンでした、
って言っておいてください。
それではまた遊びにいきます。行かせてください。」
彼女の筆跡を見て
また胸が詰まった。
でも、読み終えたとき
「○○ちゃん、私はここにいるよ。」
と、
彼女の声が聞こえた気がした。
なんだか、嘘のように気持ちが軽くなった。
テレビ台の下にZippoのライターを見つけ
手紙と共に彼女に送った。
その手紙は読んでくれたんだろうか。
そうだ、堀さんに手紙を書いてみよう。
(2007/07/19 ねこのまったり日記より)
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